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論文

高温ガス炉向けRPV冷却システムの開発

高松 邦吉

革新的冷却技術; メカニズムから素子・材料・システム開発まで, p.179 - 183, 2024/01

高温ガス炉は優れた安全性を有しており、原子炉冷却材が喪失するような事故時においても、炉心における崩壊熱や残留熱を原子炉圧力容器(RPV)外表面から放熱でき、燃料温度は制限値を超えることなく静定する。一方、RPVから放出された熱を最終ヒートシンクまで輸送する冷却システムに関しては、ポンプ等による水の強制循環を用いた能動的システムや、大気の自然循環を用いた受動的システムが提案されている。しがしながら、冷却性能が動的機器の動作や気象条件の影響を受けるという課題があった。本稿では、これらの課題解決を目的に提案されている放射冷却を用いた新たな冷却システム概念の概要や、当該概念の成立性確認を目的とした解析と実験の結果を紹介する。

論文

Development of stress intensity factor solution for surface crack at nozzle corner in reactor pressure vessel

山口 義仁; 高見澤 悠; 勝山 仁哉; Li, Y.

Proceedings of ASME 2023 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2023) (Internet), 9 Pages, 2023/07

原子炉圧力容器のノズル部の健全性評価において、ノズルコーナー亀裂に対する応力拡大係数が重要なパラメータである。これまで、ノズルコーナーの表面亀裂に対する様々な応力拡大係数解が提案されてきたが、その多くは亀裂の最深点にのみ着目しており、ノズルコーナーの形状寸法に関する情報は明らかになっていない。ノズルコーナー亀裂を対象とした既往の疲労試験結果によると、亀裂表面点における進展量は、最深点よりも大きいことが明らかとなっている。このことから、亀裂表面点の応力拡大係数は最深点よりも高い可能性がある。これらより、本研究では、健全性評価の信頼性を高めるため、有限要素解析を通じて、ノズルコーナーの形状寸法とき裂サイズに対応した、表面点と最深点の両方の応力拡大係数解を提案する。

論文

Improvement of cooling performance of reactor pressure vessel using passive cooling

坂野 雅樹*; 舩谷 俊平*; 高松 邦吉

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 7 Pages, 2023/05

本研究では、放射冷却を採用した原子炉圧力容器(RPV)の受動的冷却設備の安全性に関する基礎的研究を行う。本研究の目的は、自然災害が発生した場合でも、放射冷却を採用したRPVの受動的冷却設備は、安全で信頼できることを実証することである。そこで、いくつかのステンレス製の容器を使って、実機の受動的冷却設備の約1/20スケールである実験装置を製作した。実験装置内の発熱体の表面はRPVの表面を模擬しており、その発熱体は実験装置内で自然対流と輻射を発生させる。そこで実機と実験装置のグラスホフ数を比較したところ、いずれも乱流であることを確認し、スケールモデルである実験装置から価値の高い実験結果を得られることに成功した。また実験の結果から、定格運転時にRPV表面から放散される熱を確実に除去できることを実証できた。

論文

ウィーク・ビーム走査透過電子顕微鏡法を用いた原子炉圧力容器鋼のマトリックス損傷評価

吉田 健太*; 外山 健*; 井上 耕治*; 永井 康介*; 下平 昌樹

まてりあ, 62(3), p.154 - 158, 2023/03

原子炉圧力容器(RPV)の中性子照射脆化因子の一つである直径3nm程度の微細な転位ループを高精度に分析するために開発したウィークビーム走査透過型電子顕微鏡(WB-STEM)に関する解説を行うとともに、当該手法と3次元アトムプローブ法(APT)及び陽電子消滅法(PAS)を組み合わせた最先端の照射脆化研究について紹介する。WB-STEMは材料内部に存在する特定の格子欠陥に対して最適な電子線の収束角及び検出角を設定することによって、従来透過型電子顕微鏡での観察が困難であった微細な転位ループの定量評価を可能にする手法である。この手法を用いて10$$^{23}$$n/m$$^{2}$$程度の低照射量から10$$^{24}$$n/m$$^{2}$$を上回る高照射量まで複数照射量条件で照射された欧州加圧水型軽水炉の監視試験片中の転位ループを分析し、APTやPASで分析した溶質原子クラスターとの比較を行った。その結果、8.2$$times$$10$$^{23}$$n/m$$^{2}$$から1.2$$times$$10$$^{24}$$n/m$$^{2}$$の高照射量領域において転位ループの数密度が顕著に増加することを明らかにした。また、測定された転位ループ及び溶質原子クラスターの数密度や寸法からモデル式に基づいて、これら微細組織の脆化への寄与を評価し、高照射量領域において転位ループが脆化に大きく寄与する可能性を示した。

報告書

原子炉圧力容器用確率論的破壊力学解析コードPASCAL5の使用手引き及び解析手法

高見澤 悠; Lu, K.; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; 宮本 裕平*; Li, Y.

JAEA-Data/Code 2022-006, 221 Pages, 2023/02

JAEA-Data-Code-2022-006.pdf:4.79MB

原子炉圧力容器(RPV: Reactor Pressure Vessel)は原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する重要機器の1つであり、中性子照射等に伴う高経年化を考慮した構造健全性確保が極めて重要である。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA: Japan Atomic Energy Agency)では、RPVの構造健全性評価に関する研究の一環として、確率論的破壊力学(PFM: Probabilistic Fracture Mechanics)解析コードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進めている。本コードは、加圧水型軽水炉(PWR: Pressurized Water Reactor)及び沸騰水型軽水炉(BWR: Boiling Water Reactor)を対象に、影響因子が持つ不確実さを考慮し、加圧熱衝撃(PTS: Pressurized Thermal Shock)事象や低温過圧事象(LTOP: Low-Temperature Over Pressure)等の過渡によるRPVの炉心領域部の破損確率や破損頻度を求めるものである。破壊力学や確率論的計算手法等に関する最新知見や国内RPVに適した評価手法・評価モデルを踏まえ、新規解析機能の導入を進めるとともに、系統的なコード検証活動を通じて信頼性向上を図ってきた。平成12年度に公開したPASCALでは、PWRのPTS事象を対象に、RPVの破損確率を解析する基本的な枠組みを整備した。平成18年度に公開したPASCAL2では、内部亀裂の評価手法や様々な非破壊検査による亀裂の検出性に関する評価モデル等を導入し、過渡事象データベースを整備した。平成22年度に公開したPASCAL3では、肉盛溶接クラッド部に着目して、亀裂の評価機能等を改良した。平成29年度に公開したPASCAL4では、応力拡大係数解や破壊靭性の不確実さを考慮した評価モデル等の改良により解析機能の高度化を図るとともに、影響因子の不確実さを認識論的不確実さと偶然的不確実さに分類し、不確実さを考慮した信頼度評価機能等を整備した。平成30年度以降は、これまでPWRのPTS事象を対象としたRPV内面側亀裂の評価機能に加えて、BWRの起動事象、LTOP事象等を想定したRPV外面側亀裂の評価機能等の整備を進めてきた。これらの機能整備を踏まえ、国内PWR及びBWRのRPVを対象とした確率論的健全性評価に資する解析コードとして、PASCAL5へとバージョンアップした。PASCAL5はPFM解析モジュールであるPASCAL-RV、PASCAL-RVの入力データの生成やRPV炉心領域部を対象とした破損頻度の算出を行うモジュールであるPASCAL-Manager、付録として附属する簡易的な熱応力解析を

論文

輻射を利用した原子力キャビティ冷却システムの伝熱特性に関する研究

坂野 雅樹*; 舩谷 俊平*; 高松 邦吉

山梨講演会2022講演論文集(CD-ROM), 6 Pages, 2022/10

本研究では、放射冷却を採用した原子炉圧力容器(RPV)の受動的冷却設備の安全性に関する基礎的研究を行う。本研究の目的は、自然災害が発生した場合でも、放射冷却を採用したRPVの受動的冷却設備は、安全で信頼できることを実証することである。そこで、いくつかのステンレス製の容器を使って、実機の受動的冷却設備の約1/20スケールである実験装置を製作した。実験装置内の発熱体の表面はRPVの表面を模擬しており、その発熱体は実験装置内で自然対流と輻射を発生させる。実験の結果、実験装置内の自然対流を詳細に可視化することに成功した。

論文

State-of-the-art of WPS in RPV PTS analysis

Zarazovski, M.*; Pistra, V.*; Lauerova, D.*; Obermeier, F.*; Mora, D.*; Dubyk, Y.*; Bolinder, T.*; Cueto-Felgueroso, C.*; Szavai, S.*; Dudra, J.*; et al.

Proceedings of ASME 2022 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2022) (Internet), 11 Pages, 2022/07

The APAL (Advanced Pressurized Thermal Shock (PTS) Analysis for Long-Term Operation (LTO)) project was launched in October 2020 for four years with funding from the European Union's HORIZON 2020 program. Within APAL, an extensive literature review was performed and experience with defining the state-of-the-art of the Warm Pre-Stress (WPS) effect, which has an impact on the reactor pressure vessel (RPV) brittle fracture margin in both deterministic and probabilistic terms, was collected. To gather the worldwide experience of the WPS approaches and models, a comprehensive questionnaire was developed followed by each APAL partner response. It mainly focused on the following aspects: collection of existing WPS approaches and models implemented in standards and rules for RPV brittle fracture assessment; identification of the WPS issues; collection and analysis of the existing experimental data. This work describes worldwide experience and best practice of the WPS and its application for the RPV integrity assessment. The paper's conclusions are also focused on the recommendations for dealing with WPS issues.

論文

LIVE-J1 experiment on debris melting behavior toward understanding late in-vessel accident progression of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station

間所 寛; 山下 拓哉; 佐藤 一憲; Gaus-Liu, X.*; Cron, T.*; Fluhrer, B.*; St$"a$ngle, R.*; Wenz, T.*; Vervoortz, M.*; 溝上 伸也

Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 16 Pages, 2022/03

Debris and molten pool behavior in the reactor pressure vessel (RPV) lower plenum is a key factor to determine its failure mode, which affects the initial condition of ex-vessel accident progression and the debris characteristics. These are necessary information to accomplish safe decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station. After dryout of the solidified debris in the lower plenum, metallic debris is expected to melt prior to the oxide debris due to its lower melting temperature. The lower head failure is likely be originated by the local thermal load attack of a melting debris bed. Numerous experiments have been conducted in the past decades to investigate the homogeneous molten pool behavior with external cooling. However, few experiments address the transient heat transfer of solid-liquid mixture without external cooling. In order to enrich the experimental database of melting and heat transfer process of debris bed consisted of materials with different melting temperatures, LIVE-J1 experiment was conducted using ceramic and nitrate particles as high melting and low melting temperature simulant materials, respectively. The test results showed that debris height decreased gradually as the nitrate particles melt, and molten zone and thermal load on vessel wall were shifted from bottom upwards. Both conductive and convective heat transfer could take place in a solid-liquid mixture pool. These results can support the information from the internal investigations of the primary containment vessel and deepen the understanding of the accident progression.

論文

Constraint effect on fracture behavior of underclad crack in reactor pressure vessel

下平 昌樹; 飛田 徹; 高見澤 悠; 勝山 仁哉; 塙 悟史

Journal of Pressure Vessel Technology, 144(1), p.011304_1 - 011304_7, 2022/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Engineering, Mechanical)

JEAC4206-2016における原子炉圧力容器の構造健全性評価では、材料の破壊靭性が、想定欠陥であるクラッド下半楕円亀裂の先端における応力拡大係数よりも高いことが求められている。しかしながら、破壊靭性試験片と想定亀裂の亀裂深さやクラッドの有無といった違いにより、塑性拘束状態や破壊靭性評価に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、クラッド下亀裂が破壊靭性評価に及ぼす影響を調べるため、3点曲げ破壊靭性試験及び有限要素解析を実施した。その結果、クラッド下亀裂の塑性拘束が表面亀裂のそれに比べて弱いことを解析によって示した。さらに、クラッド下亀裂の弱い塑性拘束の影響により、クラッド下亀裂の破壊靭性が表面亀裂よりも見かけ上高くなることを実験及びローカルアプローチによって明らかにした。

論文

The Role of silicon on solute clustering and embrittlement in highly neutron-irradiated pressurized water reactor surveillance test specimens

高見澤 悠; 端 邦樹; 西山 裕孝; 外山 健*; 永井 康介*

Journal of Nuclear Materials, 556, p.153203_1 - 153203_10, 2021/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:31.78(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉圧力容器鋼における中性子照射脆化に及ぼすシリコンの影響を明らかにするため、三次元アトムプローブにより、高照射量領域まで中性子照射された監視試験片中の溶質原子クラスタを分析した。高Cu含有材では、Ni, Mn, Siがクラスタ中心のCu原子を囲むように凝集し、コアシェル構造を形成するのに対して、低Cu含有材ではNi, Mn, Siがクラスタ中を均一に分布していた。クラスタ内のCu原子の数はCu含有量の減少と共に減少したが、それを補うようにSi原子数が増加した。材料中の公称のSi含有量の増加とともに、クラスタのギニエ半径は減少し、数密度が増加した。結果として、クラスタの体積率は一定であった。延性脆性遷移温度移行量とクラスタの体積率とギニエ半径の積の平方根が良い相関関係を示すことから、脆化の主要因は、溶質原子クラスタを転位が切断するメカニズムによる硬化であることが示された。また、Si含有量の増加により、クラスタの体積率は一定のままギニエ半径が減少することで脆化の程度を減少させることが示された。

論文

Bayesian analysis of Japanese pressurized water reactor surveillance data for irradiation embrittlement prediction

高見澤 悠; 西山 裕孝

Journal of Pressure Vessel Technology, 143(5), p.051502_1 - 051502_8, 2021/10

 被引用回数:3 パーセンタイル:30.36(Engineering, Mechanical)

本研究では、照射脆化予測に取込むべき化学成分を特定し、原子炉圧力容器鋼の照射脆化予測の不確実性を評価した。日本の加圧水型原子炉の監視試験データに対してノンパラメトリックベイズ(BNP)法を用いた統計分析を行った。BNP法は入力データの複雑さと不確かさを考慮可能な機械学習手法である。脆化への影響が大きい入力変数の組合せを評価可能な統計的指標を導入し、中性子照射量, Cu, Ni, Si含有量の4つの変数の組合せが脆化予測に最も効果的であることを明らかにした。また、化学成分では脆化量に対してCu含有量の影響が最も大きく、Ni, Siの順番で影響が大きいことを示した。関連温度移行量($$Delta$$RT$$_{rm NDT}$$)をBNP法を用いて算出した結果、計算値と実測値の残差の標準偏差は8.4$$^{circ}$$Cであり、現行の国内脆化予測法(JEAC4201-2007(2013年追補))と同等かそれ以上の予測性有していることを確認した。BNP法によって計算された$$Delta$$RT$$_{rm NDT}$$の事後分布の95%確信区間(入力データの不確実性を考慮した場合にデータが存在し得る範囲)は国内脆化予測法のマージンと同等かそれよりも小さく、JEAC4201-2007(2013年追補)において、適切なマージンが設定されていることを定量的に示した。

論文

Effect of plastic constraint and cladding on semi-elliptical shaped crack in fracture toughness evaluation for a reactor pressure vessel steel

下平 昌樹; 飛田 徹; 名越 康人*; Lu, K.; 勝山 仁哉

Proceedings of ASME 2021 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2021) (Internet), 8 Pages, 2021/07

JEAC4206-2016における原子炉圧力容器の構造健全性評価では、材料の破壊靭性が、想定欠陥であるクラッド下半楕円亀裂の先端における応力拡大係数よりも高いことが求められている。しかしながら、破壊靭性試験片と想定亀裂の亀裂深さやクラッドの有無といった違いにより、塑性拘束状態や破壊靭性評価に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、半楕円亀裂に対する拘束効果やクラッドが破壊靭性評価に及ぼす影響を調べるため、4点曲げ破壊靭性試験及び有限要素解析を実施した。その結果、半楕円亀裂最深点における見かけの破壊靭性がマスターカーブ法に基づく5%信頼下限を上回り、現行評価手法が保守性を有することを確認した。半楕円亀裂における破壊の起点は亀裂最深点だけでなく試験体表面近傍にも観察された。有限要素解析の結果、半楕円亀裂における塑性拘束は亀裂最深点に比べて表面近傍で弱くなっていることが分かった。また、表面亀裂の場合に比べてクラッド下亀裂の場合には塑性拘束が弱められ、その弱い拘束の影響によりクラッド下亀裂の見かけの破壊靭性が表面亀裂のそれよりも高くなることがローカルアプローチによって示唆された。

論文

Grain-boundary phosphorus segregation in highly neutron-irradiated reactor pressure vessel steels and its effect on irradiation embrittlement

端 邦樹; 高見澤 悠; 北條 智博*; 海老原 健一; 西山 裕孝; 永井 康介*

Journal of Nuclear Materials, 543, p.152564_1 - 152564_10, 2021/01

 被引用回数:12 パーセンタイル:91.16(Materials Science, Multidisciplinary)

加圧水型軽水炉(PWR)または試験炉において0.3-1.2$$times$$10$$^{20}$$ n/cm$$^{2}$$ (E$$>$$1MeV)の範囲で中性子照射された原子炉圧力容器鋼(リン含有量: 0.007-0.012wt.%)について、粒界リン偏析量をオージェ電子分光分析により測定した。粒界リン偏析量は照射量に依存して増加した。速度論に基づくシミュレーションでも同様の粒界リン偏析量の増加を確認した。また、リン含有量が0.015wt.%(現在の国内原子炉圧力容器鋼の最大値相当)の材料では、1.0$$times$$10$$^{20}$$ n/cm$$^{2}$$まで照射した場合、粒界に偏析するリンの割合は10%程度増加することが予測された。PWR及び試験炉での照射材の結果を比較したところ、明確な照射速度効果は確認されなかった。文献データも含めたリン含有量0.026wt.%(海外炉のA533B鋼の中でも比較的高いリン含有量)までの材料に対して、粒界リン偏析量、照射硬化、延性脆性遷移温度(DBTT)シフトの各関係について調べたところ、照射硬化とDBTTシフトの間に直線関係が確認された。この直線関係は、このようなリン含有量の高い材料においてもDBTTの上昇は照射硬化で説明することができること、すなわち非硬化型脆化である粒界脆化の顕在化の可能性が低いことを示している。

報告書

PASCAL信頼性向上ワーキンググループ活動報告; 平成28及び29年度

Li, Y.; 廣田 貴俊*; 板橋 遊*; 山本 真人*; 関東 康祐*; 鈴木 雅秀*; 宮本 裕平*

JAEA-Review 2020-011, 130 Pages, 2020/09

JAEA-Review-2020-011.pdf:9.31MB

日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)では、原子炉圧力容器(Reactor Pressure Vessel、以下「RPV」という。)の構造健全性評価手法の高度化を目的として、加圧熱衝撃等の過渡事象が発生した場合のRPVの破損確率や破損頻度を評価する確率論的破壊力学解析コードPASCALを開発し、最新知見に基づきその機能の高度化を進めてきた。RPVの構造健全性評価において確率論的手法の活用が期待される中で、RPVの健全性評価に係る取組みを促進するためには、複数の機関によりPASCALの機能確認を実施し、その確認過程や確認結果を取りまとめておくことにより、コードの信頼性を向上させることが不可欠である。こうした背景を踏まえ、原子力機構では開発機関以外の当該分野に関する専門家の下で、本コードの信頼性を向上させることを目的として、PASCAL信頼性向上ワーキンググループを設立し、PASCALのソースコードレベルの確認を含む機能確認を行ってきた。本報は、PASCAL信頼性向上ワーキンググループの平成28及び29年度における活動内容及び活動結果についてまとめたものである。

論文

${it In situ}$ WB-STEM observation of dislocation loop behavior in reactor pressure vessel steel during post-irradiation annealing

Du, Y.*; 吉田 健太*; 嶋田 雄介*; 外山 健*; 井上 耕治*; 荒河 一渡*; 鈴土 知明; Milan, K. J.*; Gerard, R.*; 大貫 惣明*; et al.

Materialia, 12, p.100778_1 - 100778_10, 2020/08

長期に原子炉圧力容器の健全性を確保するためには、照射が材料に及ぼす影響を理解する必要がある。本研究では我々が新規開発したWB-STEMを用いて、中性子照射された原子炉圧力容器試験片を焼鈍中、照射誘起転位ループの観察を行った。焼鈍温度を上げると$$<100>$$ループの割合が増加していることが確認された。また、2つの$$frac{1}{2}$$$$<111>$$ループが衝突して$$<100>$$ループになる現象の観察に初めて成功した。転位に転位ループがデコレートする現象も観察され、分子動力学シミュレーションによってそのメカニズムが説明することができた。

論文

Improved Bayesian update method on flaw distributions reflecting non-destructive inspection result

勝山 仁哉; 宮本 裕平*; Lu, K.; 真野 晃宏; Li, Y.

Proceedings of ASME 2020 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2020) (Internet), 8 Pages, 2020/08

原子力機構では、中性子照射脆化及び加圧熱衝撃事象等の過渡事象を考慮し、原子炉圧力容器(RPV)の破損頻度を算出するための確率的破壊力学(PFM)解析コードPASCAL4の開発を進めている。亀裂のサイズや密度等の欠陥分布は、PFM解析の破損頻度を算出する上で重要な影響因子であることがよく知られている。NUREG-2163では、非破壊検査(NDI)の結果を反映するベイズ更新手法が提案されているが、NDIにより欠陥指示がある場合にのみ適用可能である。RPVの検査結果として欠陥指示がない場合があることから、我々は以前、NDIの結果として欠陥指示がある場合とない場合の両方に適用可能な尤度関数を提案した。しかし、これらのベイズ更新手法では、両者に相関のあると考えられる亀裂のサイズと密度を独立に更新する尤度関数が適用されている。本研究では、尤度関数をさらに改善し、亀裂のサイズと密度を同時に更新できるようにした。また、その尤度関数に基づきベイズ更新及びPFM解析を行い、その有用性を示した。

論文

Bayesian uncertainty evaluation of Charpy ductile-to-brittle transition temperature for reactor pressure vessel steels

高見澤 悠; 西山 裕孝; 平野 隆*

Proceedings of ASME 2020 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2020) (Internet), 7 Pages, 2020/08

原子炉圧力容器(RPV)は中性子照射前後のシャルピー衝撃試験で得られる延性脆性遷移温度(DBTT)に基づき中性子照射による材料劣化を予測した上で構造健全性評価が行われている。シャルピー衝撃試験で得られるDBTTには試験に依存した様々な不確かさが含まれる。本研究では、原子力機構がこれまでに取得したRPV鋼の未照射材・中性子照射材データを用いて、ベイズ統計に基づく解析モデルを構築し、試験片の採取位置のばらつき、試験片の数、試験温度を考慮した上でDBTTの不確かさを評価可能な手法を整備した。上記の手法を用いて国内RPV鋼に対する評価を行い、試験数や試験温度がDBTTの不確かさに及ぼす影響を定量的に明らかにした。

論文

Susceptibility to neutron irradiation embrittlement of heat-affected zone of reactor pressure vessel steels

高見澤 悠; 勝山 仁哉; 河 侑成; 飛田 徹; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2019 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2019) (Internet), 8 Pages, 2019/07

原子炉圧力容器鋼の溶接熱影響部(HAZ)について、実際の原子炉圧力容器を模擬した継手溶接材(継手HAZ)及びHAZの代表的な組織を再現した熱処理材を作製し、JRR-3を用いた中性子照射試験及び照射後試験を実施し、照射前後の微細組織変化及び機械的特性変化を調べた。未照射材において、継手HAZ及び細粒HAZの破壊靭性が母材よりも低く、その要因が島状マルテンサイトやフェライト相の存在に因ることを明らかにした。また、粗粒HAZの中性子照射脆化感受性は母材よりも小さい値を示し、継手HAZ及び細粒HAZは母材と同等であることを明らかにした。

論文

Influence evaluation of loading conditions during pressurized thermal shock transients based on thermal-hydraulics and structural analyses

勝山 仁哉; 宇野 隼平*; 渡辺 正*; Li, Y.

Frontiers of Mechanical Engineering, 13(4), p.563 - 570, 2018/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.21(Engineering, Mechanical)

加圧水型原子炉(PWR)における原子炉圧力容器(RPV)の構造健全性評価において、加圧熱衝撃(PTS)事象時の荷重条件に影響する冷却水の熱水力挙動は重要な影響因子の1つである。機器の構成と寸法、運転員操作の時間が、冷却水の温度や流量、内圧等に大きく影響する。本研究では、運転員操作の時間がPTS事象中の熱水力挙動に及ぼす影響を調べるため、RPVや1次系及び2次系で構成された国内の代表的PWRプラントに対する解析モデルを整備し、システム解析コードRELAP5による熱水力解析を行った。日本と米国の規則に基づき、PTS事象が発生した後、日本の規則を参考に10分後、米国の規則を参考に30分後に、緊急炉心冷却系を止める運転員操作を想定した。その結果を用いて構造解析を行い、健全性評価における荷重条件評価も行った。以上の結果、運転員操作の時間の差異が熱水力挙動や荷重条件に大きな影響を及ぼし、日本の規則に従ったケースでは、米国のケースに比べてRPVの内圧が低下すること等を明らかにした。保守的な評価を行う観点から、米国の過渡事象は国内RPVの健全性評価に適用できることを示した。

報告書

原子炉圧力容器用確率論的破壊力学解析コードPASCAL4の使用手引き及び解析手法(受託研究)

勝山 仁哉; 眞崎 浩一; 宮本 裕平*; Li, Y.

JAEA-Data/Code 2017-015, 229 Pages, 2018/03

JAEA-Data-Code-2017-015.pdf:5.8MB
JAEA-Data-Code-2017-015(errata).pdf:0.15MB

軽水炉構造機器の高経年化評価に関する研究の一環として、確率論的破壊力学解析コードPASCALの開発を進めている。本コードは、原子炉圧力容器に加圧熱衝撃事象等の過渡が発生した場合における容器の破損確率や破損頻度を解析するコードである。破壊力学に関する最新知見や国内RPVに適した評価手法・評価モデルを踏まえ、新規解析機能の導入やコード検証等を通じて解析精度と信頼性向上を図った。具体的には、応力拡大係数解や破壊靭性モデル等の解析機能の高度化を図るとともに、健全性評価に係る影響因子の認識論的不確実さと偶然的不確実さを考慮した信頼度評価機能の整備等を実施した。また、確率論的計算手法を改良し、解析コードの計算速度を著しく向上させた。さらに、PASCAL-RVにより算出される亀裂を対象とした破損確率からRPV炉心領域部を対象とした破損頻度を算出する機能を有するモジュールPASCAL-Managerを整備した。本報告書は、PASCAL-Managerを含むPASCAL4の使用方法、解析理論をまとめたものである。

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